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2015年3月20日金曜日

COPAL RP-207 と修理依頼

こんばんは、taka@です。

偶然にもcaslon601の記事を公開して以降、多数の問い合わせがありました。
時間がある限り随時受け付けていきますが、少しお待ち頂くことになるかと思います。

今回は1970年~80年代初頭まで製造されたCOAPL RP-207です。特筆すべき点は少ないですが、鮮やかなオレンジ・落ち着いたベージュの2色が今でも可愛いパタパタ時計です。

中古市場でも安価で見つけやすい機種ではないかと思います。
当時の定価は3,000円。アラーム付きではリーズナブルな価格です。

この個体は未使用品でしたが当時多かった贈答品だったようで、裏面には「エイコーやまびこ会記念品」のシールが。英弘チェンという家電量販店の有料会員特典の一部だったみたいです。

シンプルを極めるわけでもなく、随所面取りされたデザインがこだわりを感じさせます。

取説と周波数分布図。特に大したことは書かれていません。

ここからはオーナーのMK様よりお預かりしたRP-207です。
届いた状態では保管ダメージがやや目立った感じですが、使用感は少なく感じます。
時計不動とのことで、確かに動きません。

早速内部を見てみます。新品の207を入手した際も、モーターのグリスが劣化して動かなくなっておりましたので、ほぼ同じ原因と仮定して進めていきます。

この207に限りませんが、末期の製品は画像のような小さなモーターになっております。コストダウンに成功し、消費電力も抑えられていますが、通電時の音は若干大きいように思います。

カバーを外すと磁石の軸受けにどろっとした褐色のグリスが!

ギアボックスにも相当蓄積されているようなので、これではトルクの小さいモーターは回りません。
軸受け部の樹脂カバーを外すとスプリングとワッシャーの様なものが。洗浄して新たにグリスを入れます。

ギアボックスはバラさないと話にならない状態です..。

ネチョネチョして抵抗の大きい状態でも取り敢えずは回りますが、後々良くないので各ギアを外して新たに注油します。ムーブメントは一応完成です。


あまり通電されていなかったのか、ネオンランプは新品に近い状態でしたので、今回は交換を見送ります。フリップは一枚一枚綺麗にしていきます。
アラームは調子よく鳴るみたいで特に支障はないレベルでしたが、一応手を入れています。時計のシャーシは同年代のクオーツ式とほぼ同じなので、整備しやすいです。

本体カバーは研磨した後に丸洗い洗浄をし、組み立てて完成です。

うーん、普段使いにもってこいのコンディションに仕上がりました!

橙色も良いですが、ベージュも近代的で良いトーンです♪

中古で出回るRP-207のどれよりもスムーズな動作が期待できます。50Hz・60Hzどちらも試しましたが、時間に誤差は感じられません。

きっとオーナー様の元でいつまでも時を刻むことでしょう(^^♪

余談ですが、奇遇なことにお預かりした207も同じエイコーの贈答品でした。

2015年3月13日金曜日

A&D GX-7100EVを購入

この一年ほど長らくカセットテープを使っておりませんでしたが、デッキを入手する機会があり、ネットの友人にフルメンテの整備して頂きました( ´∀`)
整備の時間の取れない私には非常にありがたいお話です。

テープを久々に録音したい!という事で、デッキ選びは最終的に7100EVに至りました。これも良品が出現したタイミングなのですが、答えは既に出ていたような気がします。初めは薄型のZ7000・Z9000が良いかなと思いましたが、メイン機としては後発の7100・9100シリーズが性能的にも優先されました。

GX-7100EVの詳しい詳細は他方のサイトで数多く取り上げられているので、あえて割愛しますが、スムーズな動作で使いやすさ、音質の面では完成の域に達してます。

バブル期らしい重厚な外観ですが、個人的にはあと5mm薄ければバランスが良い気がします。

カセットのリッドは本体と一体感のある組み合わせ。SONYの様な前面アクリルの様なデザインも良いですが・・・

しかし、大きな窓の割には内部のスタビライザーお陰でテープのハーフが見にくいのはちょっと残念。

付属品は当時のリモコン・取説・ケーブルで、取説のシミの少なさには感動モノです( ゚д゚)!

本体もまるで数年前に販売していたかの様な保存状態。

AKAIのデッキは初めてですが、ラックにもこの上なくピッタリに収まりました。これは非常に重要な事。

テープは有り余るほどあるので、これからじっくり録音して手持ちのラジカセで再生していきたいです。


2015年3月3日火曜日

COPAL Caslon 601 と修理依頼

Qデザイナーズのクロックとして未だ人気の高い”COPAL”のパタパタ時計シリーズ、私の所有する601も時間のある時に綺麗にしたいな...と思いつつ保管しておりましたが、ブログを閲覧になった方から偶然にも同機種の修理依頼が入りました。

かつてご使用中に動かなくなりそのまま放置されていた個体だそうで、思い入れがあるため修理をお願いしたいとの事。以前の602の故障や同系列の破損原因を想定しつつ、ダメ元で引き受けました。

他人様の物を弄るのは好きではないですが、こういった依頼は実に嬉しいものです。少し眠らせていた私の601と平行してオーバーホールが出来ました。

COPAL Caslon 601

1967年発表
ごく普通のパタパタ時計...とは一線を画する量産可能なアルミニウム・プレスをあしらった、直線的デザインが特徴です。

サイドのエンドパネルは当初、質感を統一した”物”にした方がリッチな外観のイメージに近づけるとの見方があったようですが、メーカー側の原価計算の結果、ABS樹脂に変更されたようです。
この為、現代に残る多くはビス受け部分にクラックが入りやすいのが残念。

個人的には木枠で左右を覆っても面白いとは思いましたが、全体の配色がハイコントラストでないのは、曜日フリップの下側の7色と干渉の無いようにするためだとか。

尚、カラーはブラックモデルもあり、輸出向けはブラック×シルバーのツートン、また12時間制と24時間制のパターンもある模様。

時計部分は先代のcaslon101のパーツとほぼ同一。
カレンダーの日と曜日は時間と区別するために小さめのフリップになっています。
さらに視認性の向上の為、日と曜日の書体の太さも手を加えられている点も芸が細かい...!

型番。電圧の範囲が80~120Vですが、精度にはギリギリ関係ない範囲なのでしょうか・・・?

後ろ側は、2つのつまみと説明書き。

ここからは依頼品との修理の様子です。
届いた時の状態。流石コレクションだった物として程度が良いです。但し、過去に分解歴がありそうでした。また、パネルにクラックの修理跡があり、下手に触ると崩れそうなのが心配です。

時計不動でしたが、ギア関係は大丈夫のようでモーターの固着が原因でした。

一度固着したモーターは注油等で一時的には動きますが、精度が出なかったり、一日電源を入れなかったりすると動かなくなることが多く、継続的なエージングが必要です。

COPALⅡのACモーターは完全にバラすことが出来ないので、古いグリスがギアボックス内部に残っていたりすると結構面倒です。

アルミボディを洗浄するために各パーツを外します。つまみの説明書きを止めていたセロファンが劣化して跡になっていたので綺麗に剥がしました。

依頼された個体はネオンランプが劣化していましたので、新品に交換です。

下が古いほうですが、かなり輝度が低下してました。
601はホワイトのフリップなのでオレンジ色が映えます。

所有していた時計と合わせて作業が進みます。

一応の動作確認が取れたところで外枠の洗浄に入ります。

こうして見ると時計なのか何なのか分かりません..
置いた時の”見やすさ”を意識した角度が素晴らしいです。

クラックの補修された部分は、やはり洗浄中にバラバラに。机に置いた時も下に接触するため、余計に割れやすくなっています。

今回試したかったのは、日焼けで変色した樹脂パネルを紫外線還元で元の色に戻すこと。
以前何度か試して、結果は半々。素材の著しい劣化が確認できたため、今回は自分ので試しました。
ハイターの成分に浸した後、日光を当てて数日放置。これだけで元の色に戻るのを発見した方凄いです><
3日置いてここまで綺麗になりました。

調節の後は組み上げて元に戻します。2台の601と周りの時計を比べつつ1週間程度様子見です。
時間が遅れる症状が出始めましたが、最終的にはよく慣らす事である程度解消できます。ただ、モーターのギアの摩耗は無いとは言えません。

また、電源周波数の固定モデルですが、一応内部で変更可能です。しかし初期の段階で変更可能であるのに対しSONYや松下のクロックラジオに多い、Hz縛りのモーターが普及したのが謎です。

依頼者様に説明した後日発送。きっと喜んでいただけたはずです。
いつまでも時を刻んでもらいたいものですね!

同じくQデザイナーズ事務所・渡辺力氏作品の、クオーツクリスタルC61と置いてみました。
アルミプレスの同素材ですが、キャラクターが被らずどちらも個性的です。

そして個性、大きさで言えばこちらも負けていません。
1973年当初、COPALのフラッグシップだった801。いずれまた紹介出来ればと思います。

時計記事が続きましたので、久々にオーディオを紹介していきたいです。
最近フィルムカメラにも手を出してまして・・・ホントお金がかかる一方っす(;´д`)..