このブログを検索

2015年1月25日日曜日

イタリア・デジタルクロック Solari Udine Cifra 5

こんばんは、taka@です。

かつて空港などに置かれる大型の案内表示機で、独占的特許を取得し全世界に普及した「ソラリー式」で有名なSolari Udineの時計をご紹介します。

近年まで鉄道や空港関係には欠かせない?案内表示機も今やLEDや液晶に変わりつつではありますが、一部地域では未だに現役の機械も多いそう。

反転フラップ式は、世界にその名を轟かせたその先進的な技術と、今見ても新しく、興味深い所が魅力的であります。パタパタ時計を集める中で、ソラリー時計は通過点なのかもしれません。

1950年代後半より登場した「Cifra 5」と呼ばれる機種です。大きすぎず小さすぎない.そのサイズはW28×H15×D11cm。外装は金属製で3kg程あります。

時間と分の文字の大きさが異なるのがソラリーの特徴です。当時のラインナップの中では一番下のモデルですが、扱いやすく単独でも使える、お手頃な機種といえるでしょう。

内部構造は主に親時計を必要とする制御タイプと、親機を必要としない単独タイプで、画像のは後者です。

当時のお値段(1950年代後半頃)が単独タイプで39.000リラですので、当時の日本円にざっと換算したところ、約22000円です。

現在の価格で約30万というところでしょうか( ̄□ ̄;)!!


当初のカタログです。こちらより拝借しました。

今見てもお洒落でハイセンスですね!

内部です。

入手当初から普通に動き、その頑丈なメカに感心します。
しかし時間がズレまくり・・・テンプの速度調節の幅を理解するのに、数ヶ月掛かってしましました。

ゼンマイ巻上げのモーター部分は油切れで異音が鳴っておりましたが、例のごとく解消しています。その他軸受けの油もかなり劣化しておりました。

時間のパネルを伝達するカムです。
実はこのカムには5mm程あそびの部分があり、最も力を要する午前0時にきっちり回らない事がしばしあります。カムを少し加工したところ、きっちり回る様になりました。


部品の一部交換として、バネがやや劣化しておりましたので交換しました。

電源部分ですが、なんとボルテージセレクタが備わっており、100V~220Vまでカバーできます。
周波数を問わないので、大抵の国で使用することが可能です。

初めから100Vにピンが刺さっていたので、長い間日本国内で使用されたのかもしれません。

外装が非常に汚いのでバラして洗浄します。

この様に気分が悪くなりそうな色に変色しております...。

後ろのパネルもこの通り・・・約半世紀の汚れでしょうか(汗)

オーガニックの洗剤でここまで綺麗になりました!
元の塗装は綺麗なベージュです。

それではデザインに触れていきましょう。
後部にかけてやや太く、前面につれて丸みがありますが、ゴムの縁と相まってシャープな印象です。
突起部分が少なく文字盤の周りなど、細部に至るまでデザインされてます。

時間表示に至っては、欧州などで24時間制が採用されていましたが、日本向け?なのか12時間制の表示です。ですが午前0時では「0:00」となるので、完全な12時間表記とは言いがたいです。

ドーム状に膨らんだ樹脂製の風防レンズが魅力的です。

サイドから。
ネジ穴のようなものはソラリー社のロゴが入る部分で、残念ながら紛失してます。

後ろです。

主な操作はこちらで行います。
レバーを上下することでパネルを送ることが出来ます。十分にゼンマイが巻かれていないと途中で調節ができなくなるので、予め時間のパネルは分解して内部で変更します。

ネジの上の記載部分から。1958年以前の製造と判断できます。

レバーの左下、この丸いゴム栓ですが、外して細いもので押さえるとモーターを止めることが可能です。今一要点が不明です。

電源ケーブルは付属(50年モノ?)のを使ってますが、ラジカセ用のケーブルでも加工すれば使用できます。
台座は着脱可能です。

当時のソラリー社のロゴ。italyって入ってるだけでテンションが上りますね(笑)かっこいいです。

このCifra 5は映画007シリーズ「007は二度死ぬ」にも登場します。
カウンターとしての役目ですが、映画用に特別なセッティングなのかもしれません。

続いて1959年の本国の映画
ホテルのフロントのような所に置かれています。

1968年公開、映画「Tecnica di una rapina」では壁掛けとして登場します。
本体に小さなロゴが入ってますが判別不明ですね・・・。奥行きのある感じがGOODです。


一部塗装の剥がれはあるものの、半世紀近い時計とは思えない良いコンディションに復活しました。
時計としての音ですが、控えめなテンプの心地よい音と、それに反する力強い金属の回転音が入り交じり、人を惹きつける魅惑のデジタルクロックです。

ただ寝室には無理がありそうです:-|

2 件のコメント:

  1. これはお見事でした。
    特に、あれだけ汚れてたのがピカピカになる様には驚きました。
    交換用のバネをストックしてるというのも流石です。

    返信削除
    返信
    1. こんばんはPASTさん、taka@です。

      コメント有り難うございます。
      オリジナルのムーブメントが素晴らしすぎました。少し手を加えるだけで元気に動くので驚きです。
      外装は中性洗剤ではどうにもならなかったので少し工夫をこらしました~!

      削除